「シリウス文明がやってくる」 Kagari ∞ Kazuki より転載
2008年10月27日
檻の中に留まるか、飛び出すか
あなたは、とても狭い檻の中に閉ざされています。
上下左右、至近距離に迫っている壁に窮屈になっています。
あなたとそれらの壁の間にあるものを、何となく観じ取ることが出来ます。
しかし、あなたは、あなたのこともよく分かりません。
なぜならば、あなたの肉体の周りにも、ウェット・スーツのようなきつい膜の壁で覆われていて、あなたの内部も、よく見えなかったからです。
あなたが、確かに、手に取って観じるものは、もはや、プラスティックで出来た造花に過ぎません。
目に映るものは、立体的なCGのようで触れることは出来ず、耳にするものは、中身のない無機質な言の葉が、延々と垂れ流されていて、口に入れるものは、空腹感を満たすためだけの無味無臭の砂を噛んでいるようです。
これが、夢なのか現実なのか、思考することも、もはや、ありませんでした。
あなたは、眠るように呼吸をし、呼吸をするように、ただ、眠り続けました。
それらが、あまりにも永く繰り返されたため、あなたは、大量生産機械工場の一端を担う、呼吸する、ひとつの歯車でしかありませんでした。
この、夢なのか現実なのかわからない流れに、亀裂を入れるものは、一体、何なのだろうか。
それは、ある日、突然にやって来て、心を、鼓動を、呼吸を、ハッとさせます。
あなたが、その瞬間を見逃さなければ、夢なのか現実なのかわからない流れに亀裂が入り、その亀裂は、拡がってゆきます。
しかし、あなたが、その瞬間を見逃し続けるか、もしくは、無視をし続けると、夢なのか現実なのかわからない流れは、これからも同じように、ただ、続いてゆきます。
夢なのか現実なのかわからない流れの中にも、どうにもこうにも説明の出来ない瞬間があります。
それは、不可抗力と呼ばれていました。
不可抗力は英語で、“Act of God”といって、文字通り、神の仕業だといいます。
つまり、それは、人智の及ばない、稀にやって来る突飛な出来事であるので、不可抗力だと呼ぶしかありませんでした。
その不可抗力というものも、ある日、突然、あなたの元にやって来て、あなたの心と、鼓動と、呼吸とを、ハッとさせます。
あなたの、夢なのか現実なのかわからない流れは、強引に堰き止められ、あなたを困惑させます。
そのとき、あなたの停止されていた感覚が動き出し、それまでの思考には及ばない、風変わりな概念を、受け入れるか、受け入れないかで、揺さぶられ続けます。
ここで、これまで通りの、夢なのか現実なのかわからない流れを安住の地として、再び、戻ってゆくのか。
あまりにも風変わりな概念でありながら、あなたの心と、鼓動と、呼吸とが、抑えることの出来ない、高鳴る衝動を起こしているのに対して、純粋に従ってみようとするのか。
いずれも、あなたに委ねられています。
夢なのか現実なのかわからない流れに、軋みを入れるのは、あなたです。
閉ざされた壁の向こう側は、筆舌に尽くしがたく、四方八方に、遥かに果てしなく広がる、アメイジング・ワールドだというのに…
規則的な流れの中で、突如として生じる、心と、鼓動と、呼吸とが、ハッとする瞬間を、“見逃さないように” そして、“見落とさないように”
“閉ざされた扉の向こうで縛られている昔みたいに出て行くんだ 抜け出そう”
STEELHEART 『Loaded Mutha』 のPVです。
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